江戸時代史近年の概論書読後感 79

「第一章 近世城下町の画期生」

Ⅰ 沖積平野への進出

 江戸時代前期という史上まれにみる大開墾の時代については、すでに多くの史家たちによって様々な角度から論じられているが、それまで荒蕪地として農耕の対象とならなかった広大な沖積平野に進出し、水田稲作を安定して継続するには、治山治水と水利施設の造設という大規模なインフラ整備が不可欠であった。国替えによって新しい領国に入ったどの藩も、まず新田開発と年貢負担者の自立農民確保が課題となったが、そうした初期事業の中核としての城下町創設と、山麓や扇状地に在る旧村落から平野部へ大量の農民の進出、新村落の形成が計画的に行われた。

 著者は戦国時代にも存在した地方城下町は、いずれも大名が敗戦したり、城郭が移転させられたりして、ほとんどが短命に終わっていると指摘する。だが、近世の城下町は平野部に新しく建てられた平城や平山城の周囲に、武士団だけでなく商人・職人・各種芸人・寺院・医師・技術者・教育者などを集めた町人の居住地をデザインして作られた。新規の水田や畠に施す多くの肥料(下肥)を町で供給することが出来、また大規模開発に必要な技術・労力・資金も藩と城下町があって初めて可能となった、という。「城下町の建設による村落社会の再生は、それこそ大名以下にとって、失敗の許されない難題だったのである。」

 ところで、カッコでくくった部分以外の上記の文章は、必ずしも著者の記述の通りではなく、筆者の理解による補足を加えた要約となってしまった。新書版の分量の制約で、著者の簡潔な叙述で盛り込まれた内容が斬新なために、初めての読者にはややなじみにくさもあるかと思うからである。「

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント