江戸時代近年の概論書読後感 39
「第四章 山論・水論の界域」は、上記のように村落の自衛と内部規律の徹底のために武装した惣村が、戦国期には上部に調停者となる権力がないため、たがいに対立する利害を争って山論・水論が頻発した問題を取り上げ、主として藤木久志の業績に基づいて明快に論点を整理している。これは豊臣・徳川という統一権力が戦乱を終結し、平和を実現する過程で、当時の言葉でいう「喧嘩」、すなわち武力(暴力)で争うことを禁止する、これが基底となる農業生産を安定させるためには先ず必要な措置だった。一方、村落の側からも不毛な武闘を停止させる力のある上級権力が成立することは、最終的には望ましい結果であった。このあたりには織豊政権の成立に関わるさまざまな異論もあろうが、著者の権力論は幕藩体制理解に結びついていくので、ここではこれ以上立ち入らずに次に進むことにしよう。
"江戸時代近年の概論書読後感 39" へのコメントを書く